英国の老舗、
ジョンストンズの
カシミヤストール

文/天野志穂
2021/12/10

Johnstons

カシミヤストール

由緒あるオーセンティックな
チェック柄がシグネチャー

冬の装いにアクセントを添えてくれるチェック柄のストール。最高品質のカシミヤを使用したオーセンティックなデザインで、ワードローブに一枚は欲しい名品として呼び声高いのが「ジョンストンズ」の製品です。
その歴史は古く、1797年にスコットランドの北東エルガンで創業。200年を超える織物業の伝統と専門技術を背景に、上質な天然素材を使用した製品を作り続けています。現在でも原毛の厳選から紡績、ウィービング(機織)、仕上げまで自社工場で手掛ける一貫生産を続けるメーカーは、スコットランドで唯一だそう。その工程は30以上あり、カシミヤをはじめ、メリノ、ラムウール、ビキューナの生産は、何世紀にもわたって受け継がれた卓越したクラフトマンシップのなせる技であり、世界中の多くのラグジュアリーブランドも信頼を寄せています。

タグには、ブランドの頭文字J、スコットランドの国花のアザミ、ハチをモチーフにしたマークが。メイド・イン・スコットランドの誇りを感じる。

スコットランドの歴史を物語る
チェックのバリエーション

タータンチェックをはじめとする、ブランドの代表的な織柄であるエステートツイードは、元は同じ氏族を特定するクランタータン(日本でいう家紋のようなイメージ)に対して、同じ地域で働き、生活をする人たちを特定する織柄でした。スコットランドの民族衣装であるキルトは、タータンで仕立てられていることからも、この地域との密接な関係性がうかがえます。このエステートツイードは、狩猟用として身を守るため、スコットランドの山々や高原の背景に調和し、カモフラージュできるよう考えられた配色が選ばれていたそうです。

元はスコットランドのスチュワート一族のタータンだった「ロイヤルスチュワート」は、エリザベス女王陛下が愛用する世界で最も有名なチェック。英国衛兵が着用しているのもこのタータン。

「ドレススチュワート」は、正装用にと考案された、ドレス・タータン。白地がやさしい雰囲気を引き立て、細かく入った格子柄がアクセントに。

グリーンとブルーを基調にした「ドレススチュワート」は、また違った表情。

元来は厳しい寒さに耐えられる重い生地でのみ作られていたそうですが、後年になってカシミヤをはじめとする軽い生地でも生産されることになったとか。2013年にはプリンス・オブ・ウェールズ殿下(チャールズ皇太子)から、エステートツイードの製造者としてロイヤルワラント(王室御用達)を授与されています。

最高級の糸から紡ぎ出される
最高品質のカシミヤストール

仕上げの起毛の工程では、乾燥したとげのある天然の植物を使用。その技術は創業当時とまったく変わらない。

決して安くはないものですが、買う理由は充分にある「ジョンストンズ」のストール。かくいう私も、10年以上前に、どうしても欲しくて思い切って購入したブラックウォッチの大判ストールは、今でもこの季節に大活躍。毛並みに美しさに色褪せることのないデザイン、長く愛用できる、まさに一生ものと言える逸品です。

〈ジョンストンズ〉

タータンチェックストール(カシミヤ)

各・税込38,500円

/本館1階

※数に限りがございますので、品切れの際はご了承ください。

ファッションエディター

天野 志穂

Shiho Amano

1973年神奈川県生まれ。上智大学卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社。雑誌『Vingtaine』、『ELLE Japon』のファッション担当を経て、2013年渡英。2018年に帰国した後、フリーランスとして活動。雑誌やWEB、広告などでディレクション、編集、執筆を行う。