時代を超えて愛される名品が、書くことを特別な体験へと導く。

文/森下隆太
2020/09/01

MONTBLANC

モンブラン マイスターシュテュック 149

所有欲を満たす存在感。優美なフォルムや装飾にため息。

名品を語る時に、「一生使える名品」「名品中の名品」などと言いますが、こういう形容はまさにこの万年筆「モンブラン マイスターシュテュック」のようなアイテムを指す時に使う言葉です。

例えば靴や時計ですと競合が多く、名品の定義も様々ですが、筆記具においては他の追随を許さないというか。それこそブランドの名前の由来となったヨーロッパ最高峰のモンブランとリンクする名品だと言えます。

そもそもが最高の筆記具を作るという純粋なところからスタートしたブランドです。創業は1906年、ドイツ語で「傑作」という意味を持つ「マイスターシュテュック」コレクションが登場したのが1924年のこと。そして、1952年にご覧のモデル「マイスターシュテュック 149」が発表され、世界的な名声を獲得します。

マイナーチェンジはあるものの、機構の作りがほとんど変わっていないというのがすごいところ。他にはないずっしりとした存在感と丸みのある優美なフォルムも所有欲を満たしてくれます。キャップトップの白い星型のエンブレム、ペン先の装飾など、シンボリックなディテールも変わることがありません。ジョン・F・ケネディや三島由紀夫ら、偉人たちに愛されたのも名品の証左です。銀座のブティックではいろんなタイプの筆記具が試せるのですが、「149」は書き味も格別で、胴芯の重みだけでスラスラと文字を連ねることができます。紙とペン先が擦れるサッサッという音もモンブランにまつわる体験として、味わい深いもののひとつです。

ペン先に彫られた"4810"はモンブランの標高を示すもの。細かい装飾も見事です。

他のモデルに比べ、長く、重さがあるのが「149」の特徴。スラスラと筆が進みます。

昨今は会議も飲み会もオンライン上で、という状況ですが、キャンプの需要が増えていると聞きます。デジタル化への反動というか、フィジカルな体験が改めて見直されているのだと思います。書くという行為も例外ではありません。ちょっとしたメモ書きでもそうですし、贈り物に添えるメッセージもそう。手紙はその最たるものです。字の上手い下手は二の次で、直筆の便りをもらうと特別な気持ちになるのは今も昔も変わらない、むしろ今の方が心に響くかもしれません。

書くことが特別になったからこそ、書くものも特別なものにこだわりたい。「モンブラン」の「マイスターシュテュック」は、心の機微まで捉えてくれるような逸品。これぞ「名品中の名品」であると断言できます。

モンブラン

モンブラン マイスターシュテュック 149
税込104,500円

/北館1階

※諸事情により各種イベント、物販、サービスが中止になる場合がございます。あらかじめご了承ください。※撮影用の装飾品は商品に含まれておりません。※天候・交通事情などにより、商品の到着が遅れる場合、産地が変更になる場合、または中止になる場合がありますので、ご容赦ください。※数に限りがございますので、品切れの際はご了承ください。

ファッションエディター

森下 隆太

Ryuta Morishita

1986年熊本県生まれ。早稲田大学卒業後、編集プロダクションを経て、雑誌「HUgE」「MEN’S CLUB」の編集に携わる。現在はフリーランスとして広告やカタログ、雑誌を中心に活躍中。ファッションのみならず、文学、映画など様々なカルチャーをこよなく愛する。