憧れブランド、トム フォード ビューティの
世界に身を委ねる悦び
- 文/高見沢里子
- 2021/5/10
TOM FORD BEAUTY
オード パルファム スプレィ
この世には数多のブランドがあれど、その名を口にするだけで女性たちをうっとりさせるメゾンは決して多くはありません。その代表的な存在のひとつがトム フォード ビューティです。たとえばトム フォード ビューティのアイカラーひとつとっても、煌めきの美しさ、発色の繊細さは圧巻。けれど、その“憧れブランド”の世界にどっぷり浸るなら、ぜひ香りも試していただきたいところ。フレグランスの中でもとびきりラグジュアリーな部類に入るけれど、トム フォード ビューティにはそれだけの価値が詰め込まれており、特別な体験ができるのですから。
まず手にした時に、ずしりとくる重みが心地いい。はっと目を引くボトルは、建築を学んだというトム フォード氏の美意識を反映して、芸術品のような美しさ。そして、香りの素晴らしさといったら! いい意味で期待を裏切る奥深さで、誰もが虜にされてしまうはず。
隠れていた自分の魅力に、
遊び心に気づかせてくれる香り
人気の香り、「ロスト チェリー」を例にとってみましょう。さくらんぼの香りと聞いたらお菓子を想像してしまうかもしれません。けれど、トム フォード氏が美しいピンクのボトルに詰め込んだのは、熟しきった、リキュールのようなチェリーです。そこにジャスミンやサンダル ウッドが絡みあい、可愛いはずのチェリーがセンシュアルな香りに昇華しているのです。知らなかった官能的なチェリーを纏ううちに、自分が内に秘めていた色香に気づいてしまうはず…それこそが、トム フォード ビューティの香りの魅力です。
日本のトム フォード ビューティで一番人気であろう「ネロリ・ポルトフィーノ」にしても同じこと。イタリアの避暑地、リヴィエラをイメージした香りはネロリやレモンが弾ける爽やかさですが、同時に、そっと潜ませたローズマリーやアンバーが奥行きを与え、地中海のヴァカンスにふさわしいラグジュアリーなものになっているから不思議。最新作の「テュベルーズ ニュ」も、月下香の甘さにスモーキーなスエードを組み合わせ、ジェンダーレスに使える豊かな世界を表現しています。
ただいい香りだから纏うのではない、その人も気づかぬ魅力を引き出すのだ。そんなトム フォード氏のつぶやきが聞こえてきそうな名香たち。さて、身を委ねて、新たな自分を楽しむパートナーに、どの香りを選びますか?
※数に限りがございますので、品切れの際はご了承ください。
ビューティエディター
高見沢 里子
Satoko Takamizawa
1972年東京都生まれ。東京都立大学大学院修士課程修了後、『25ans』『VOGUE JAPAN』編集部を経て独立。雑誌やWEB、広告でディレクションや編集・執筆を行うほか、書籍の企画や構成も手がける。