インテリア vol.1
インテリアではじめるお気に入りの空間づくり
カトリーヌ|インテリア設計士・インテリアコーディネーター
今回のNAVIGATOR
カトリーヌ
|インテリア設計士・インテリアコーディネーター
HIRO DESIGN事務所を開設し、インテリア設計士・インテリアコーディネーターとして、主に家づくりのサポートをしている。
インテリア設計士・インテリアコーディネーター
インテリアを見直して「理想の暮らし」に
ここ数年、おうちにいる時間が長くなったことにより「自宅をもっと快適な場所にしたい!」と、インテリアを見直す方が増えています。ですが、世の中には素敵な家具があふれており、何を基準に選べばいいのか迷うことも多いのではないでしょうか。実は、インテリアを考えるときには「どう暮らしてゆきたいのか」が一番重要です。私はインテリア設計士・インテリアコーディネーターとして、内装設計・デザインをしていますが、プランニングにあたり、お客様の思いを整理し可視化するワークを大事にしています。
今回は、名古屋・栄にある〈カッシーナ・イクスシー〉のショールームを会場にして、インテリアの選び方をテーマにご紹介いたします。模様替えやリフォーム、引っ越しの際にも参考になるインテリアの考え方についてもお伝えしますので、楽しみながらお読みくだされば嬉しく思います。
インテリアは、環境づくりの一環
私はもともと旅行会社で仕事をしていたのですが、あるとき仕事を選び直す機会があり、以前から好きだったインテリアの業界に入ってみたい!と思い建築・インテリアの世界に飛び込みました。完全に未知の世界だったため、専門学校に通って一から勉強したことも、今では良い思い出です。2010年に独立してからは内装、設計、デザイン、コーディネートをノンストップで行っています。住宅・店舗づくりに携わっているのですが、私はそれを「環境づくり」の一環だととらえています。人は育つ環境によって考え方や習慣が大きく異なります。家の間取りによって、子どもの成長が大きく左右されることもあるのです。物理的には住宅・店舗をつくっていますが、実は人間の人生をも左右してしまう環境をつくっているといえます。とても責任のある仕事だと思って関わっています。
この仕事で何より嬉しいのは、やはりお客様が喜んでくださることですね。お客様の環境が変わって、たとえば家族関係が友好になったり、お子様が自ら勉強するようになったり。特にお子様の人生に大きく関わっていることを目の当たりにしたときには、嬉しくて涙が出ることもありますね。打ち合わせ時には、できるだけお客様の思いを実現することを心がけ、色々なお話を伺いながら、どんな暮らしをしたいのかな?何を望んでいるのかな?などを探りつつ、提案させていただいております。お客様の暮らしがより良くなることが何よりも大切です。物質面を最優先にするのではなく「どう暮らしていきたいのか」を軸にインテリアを考えることを大事にしてほしいですね。
STEP 1 お気に入りのインテリアの見つけ方
これまでのお話のとおり、家づくりは「どう暮らしていきたいのか」をベースに考えることが大切ですが、まずは自分の趣味嗜好を整理すると考えやすくなります。たとえばお気に入りのインテリアを見つけるためにインターネットで家具を検索するのも良いですが、いきなりモノを選ぶのではなく「自分の好きな傾向を知る」ところから始めます。私がセミナーなどで行っている「家色コラージュ」というワークでは、好きな色、好きな家具、好きなファッション、好きなメイクなど、好きなものの写真を切り抜いてコラージュしていただきます。自分の好きなものを可視化することで傾向や共通点を知ることができ、気づきを得ることができるんです。自分ではよくわからなくても私たちプロから見ればわかるということもあるので、インテリアの打ち合わせにこのコラージュを持参していただくと良いと思います。言葉だけで説明するよりも伝わりやすくなり、インテリアコーディネーターが提案しやすくなるというメリットもありますよ。自分の頭の中を覗いてもらう感覚で、ぜひ一度試してみてくださいね。
STEP 2 インテリアのイメージを決める
インテリアのイメージを決める際には、イメージスケールを活用してみましょう。イメージスケールとは、エレガント・モダン・クール・ダンディなどインテリアの印象を区分けした基本ルールのこと。好みのインテリアイメージを決め、そのイメージに沿ってアイテムを選択していくことで空間に統一感が出るのはもちろんのこと、イメージスケールがあることで印象の異なるアイテムの衝動買いを防ぎ、無駄な買い物を減らすことにもつながりますよ。
STEP 3 <モノ>お気に入りの家具を見つける
インテリアアイテムはネットでも購入できますが、インテリアイメージに合ったメーカーの製品を実際に見て、座ったり寝転んだりしてから購入することをおすすめします。ネットと実物の色の違いや、大きさ、手触りを確認できるなど、店舗に出向くことのメリットはたくさん。百聞は一見にしかずです。また、世間の評価は、参考にする程度は良いのですが、自分のお気に入りは自分の評価で作られます。自分の“好き”や“合う”を体感しましょう。
家具を見に行くときには、できるだけ家にいるときに近い格好で。ソファーに座ってみたり、ベッドに寝転んだりするには、スーツよりも楽に身体が動かせる服装が理想ですね。また、家具を試すときには靴を脱いで椅子の高さを体感するなども大事です。他には、たとえばソファに寝転がるなど、実際に家で過ごすときの動きを試してみてくださいね。
〈カッシーナ・イクスシー〉のお気に入りアイテム
今回は、家具ブランド〈カッシーナ・イクスシー〉のショップにてさまざまな家具を見ながらお話をしていきます。メインブランドである〈カッシーナ〉は1927年にイタリアで創業した家具ブランド。確かな技術力と高いデザイン性で世界中の人々に愛されています。
ブランドの代名詞的存在のアイテムでもある「マラルンガ ソファ」は、シートごとに背もたれがハイバック・ローバックに変えられるすぐれもの。背中にフィットする座り心地がやみつきになるという人も多いソファで、発売以来のベストセラーです。選ぶ張地によって、和洋あらゆる空間に調和します。
〈カッシーナ・イクスシー〉のアイテムで私のお気に入りは、第一に「キャブ チェア」。インテリアの勉強をし始めた20年前頃に憧れて、数年前に購入しました。特徴は、金属のフレームに革のジャケットを被せるという、シンプルかつ画期的なデザイン。長く使うことで革が自分のおしりにしっかりと馴染んでいき、世界に一つの椅子へと育っていくわけです。使えば使うほど自分だけの椅子になっていくので、とっても愛着が湧きますね。同じシリーズのテーブルも発売され、テーブルとチェアを合わせることが可能となりました。
次に、大きなアーチを描くポールの先にランプシェードがついた、存在感抜群の「アルコ」。アルコを取り入れる場合は、シーリングライト(天井灯)はなしにすることをおすすめします。下向きの灯りで視線が下がり落ち着ける空間になります。お部屋の雰囲気もとても高まりますよ。また、灯りが欲しい場所だけを照らせるため、ダイニングやリビングテーブルの上にもおすすめです。ちなみに、土台の大理石に開いている穴は、棒を差し込んで2人で持ち運ぶための穴です!機能とデザインを兼ねていて、とてもおもしろいですよね。ランプシェードの角度や高さを変えて灯りの方向を調整できるのですが、それも手動でなんともレトロ。人間味があふれていて親近感が湧くんですよね。これがロングセラーの理由なのでしょうね。
最後に「メックスキューブ」をご紹介します。こちらは四角いパーツで構成されているソファですが、お部屋に合わせてフレキシブルに配置できるのが特徴。脚が短めで、ソファの下のラグに座ったときにもたれかかりやすいのです。床座スタイルに馴染みのある日本人ならではの座り方ですが、そこがぐっとくるポイントかもしれませんね。
店舗では店員さんにお話を聞いてみよう
実際に店舗に行った際には、ぜひ店員さんとお話をしてみてください。ブランドヒストリーやこだわりなど、興味深いお話を知ることができるはずです。そんなバックボーンから、モノに興味や愛着を持つきっかけになることもありますよ。
松坂屋名古屋店の家具売場には、インテリアコーディネーターが3名在籍しており、商品の紹介、コーディネート・配置の提案をしてくれるほか、メンテナンス・張替え等の相談にも乗ってくれます。そのほかに、商品のクオリティーを確認できたり、さまざまなメーカーのアイテムを比較したりできるので家具売場に出向くのも良いですよ。悩んだときにはアイテム選びのアドバイスもしてくれます。具体的なお話がしたい場合には平面図や理想のお部屋の写真、ショールームなどで入手した生地サンプルなどを持参しましょう。また、事前の連絡・予約をおすすめします。
【お問い合わせ先】松坂屋名古屋店 本館6階 家具売場 電話:052-264-2860(直通)
営業時間:10時〜19時
【お問い合わせ先】松坂屋名古屋店 本館6階 家具売場 電話:052-264-2860(直通)
営業時間:10時〜19時
STEP 4 <モノ>環境について考えてみる
ご自分で納得して選んだ家具は愛着が湧き、自ずと長く使いたくなります。お気に入りの家具を大事に長く使うこと、その行動自体が環境配慮になっていて、家具の廃棄を減らすことにもつながります。お気に入りのアイテムは満足感が高く、自分にとってもプラスですね。また、今回ご紹介した〈カッシーナ・イクスシー〉はハイブランド家具メーカーであり、プロダクツは高品質。アフターサービスもしっかりしており、購入後も安心感があります。品質の良いアイテムを購入して長く使う。実はこれが一番エコなのではないかと私は思っています。割れたお茶碗を金継ぎして使うなど、モノを最後まで使い切るのが当然だった昔のように、廃棄物を出さないという考えはこれからの環境づくりに、より大切なことです。家具を購入するとき、そんな視点でお気に入りの家具を見つけてみてはいかがでしょうか。
環境に配慮したアイテムやサービスも
最近では環境に配慮したアイテムやサービスも充実しており、そのようなものの購入や活用も良いのではないでしょうか。〈カッシーナ・イクスシー〉でも、環境に優しいプロダクトやサービスがありますので、いくつかご紹介します。
まずは大きな張地で包んだクッションを巨大な金属の留め金で固定した、量感あふれる曲線が特徴の「ソリアナ ソファ」。クッションの中材には環境に配慮した新素材を使用しています。
最小の構成で最大の快適性を実現することを目的としてデザインされている「2 FAUTEUIL GRAND CONFORT, PETIT MODÈLE」は、スチールパイプのフレームに背、座、アームのクッションを落とし込んでいくという簡単な構造ながら、永く愛され続けている名作です。Cassina LABの研究により、オリジナル作品と環境配慮の双方を尊重した新しい仕様“Durable(デュラーブル)”が登場しています。
〈カッシーナ・イクスシー〉では、購入したソファの張替えメンテナンスも実施しています。たとえばお子様が小さな頃に、汚れのつきにくいファブリックを選んで購入したソファを、10年後に張替えメンテナンスで本革にすることで、ライフステージに合わせた家具にすることができます。張替えで人生に寄り添った家具へと生まれ変わる…。なんと素敵なことでしょうか。なにより、メンテナンスで長く使えるのは素晴らしいことですね。
他の家具メーカーでもSDGsな取り組みが行われています。〈カリモク家具〉では、世界の森林認証制度であるFSCⓇとPEFCのCoC認証を取得しており、責任ある管理がなされた森林由来の材料を、製材・製造過程、お客様へのお届けまで繋がった管理を行っています。また、CO2排出量の削減、エネルギー効率の良い経営、森林資源の有効活用など、環境への影響に配慮するだけでなく環境問題の解決につながる取り組みも行っています。
〈カンディハウス〉も、同じくFSCⓇとPEFCの認証を取得しているほか、植樹活動を20年以上続けており、廃棄を減らすための修理・再生の取り組みを実施するなど「ロングライフ製品」を生み出すためにさまざまな工夫を行っています。
〈エコスマートファイヤー〉ではカーボンニュートラルなバイオエタノールを燃料とした暖炉を展開。バイオエタノールは煙や煤を排出せず、従来の暖炉に必要だった煙突や換気設備も不要なため、日常生活に安全に炎を取り入れることができます。
このように、環境に配慮したアイテムやサービスがたくさんあるのは、今まで以上にこれからの時代には欠かせないことだから。お気に入りの家具を持つことが、環境の貢献にイコールであれば嬉しいですよね。家具を検討する際に、ぜひ参考にしてみてください。
このように、環境に配慮したアイテムやサービスがたくさんあるのは、今まで以上にこれからの時代には欠かせないことだから。お気に入りの家具を持つことが、環境の貢献にイコールであれば嬉しいですよね。家具を検討する際に、ぜひ参考にしてみてください。
今回は、インテリアの選び方のポイントを中心にお伝えしました。“自分はこんな暮らしがしたい”というイメージが掴めたでしょうか?インテリア選びは、暮らし選び。ぜひ楽しんでインテリアと向き合っていただきたいなと思いますね。
次回は、「ベッドルームを快適にする空間づくり」をテーマに、ベッドやカーテン、ラグの選び方などをご紹介します。お楽しみに。
次回は1月下旬の更新を予定しています。
取材協力/カッシーナ・イクスシー名古屋店
所在地:名古屋市中区栄5-215 2F
電話:052-559-1961(代)
営業時間:11時〜18時
(2023年1月より直営店舗営業終了時間を18時に変更させていただきます。)
定休日:水曜日(祝日の場合は営業)、年末年始
※写真はイメージです。クッション等装飾品は本体価格に含まれません。
※ショールームの展示品はカラー・仕様が異なる場合がございます。
カトリーヌ KATHERINE
建築デザイン事務所にてCADアシスタントとして勤務したのち、大手設備メーカーにてショールームアドバイザーとして勤務し、その後大手ハウスメーカーリフォーム会社にて勤務。営業・プレゼン・工事・施工・監理といった一連の業務を経験。2010年よりフリーランスとなり、HIRO
DESIGN事務所を開設。インテリア設計士・インテリアコーディネーターとして、主に家づくりのサポートをしている。著書に『わたしの家色さがし』。
公式HP:https://www.hiro-design-color.jp / https://katherine.design
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※掲載品は2022年12月23日時点の取り扱い商品・価格です。商品の内容や価格は変更になる場合がございます。
※数量に限りがある商品もございますので、品切れの際はご容赦ください。
※予約販売となる商品もございます。
※アレルギー等、商品の詳細は扱い売場にお問い合わせください。
※写真はイメージです。撮影用の装飾品は商品に含まれておりません。