松坂屋 史料室 企画展 Vol.47松坂屋 京都仕入店収蔵品特別公開会期 :令和3年8月27日(金)→11月22日(月)会場 :松坂屋名古屋店 南館7階・松坂屋史料室 入場無料 元文5(1740)年に尾張藩の呉服御用となった松坂屋(伊藤屋)は、延亨2(1745)年、京都室町錦小路上ルに仕入店・京店を開設しました。高級呉服の唯一の生産地であった京都に仕入-販売のルートを確立することは、揺るぎない繁栄の基礎を築くための重要な布石の一つでした。 4年後の寛延2(1749)年には新町六角下ルに移転し、その後、天明8(1788)年の団栗火事による類焼や元治元(1864)年の蛤御門の戦火による焼失という惨事がありましたが、店舗はその都度再建され、平成22(2010)年に閉鎖を迎えるまでの約260年間に亘り、松坂屋呉服の仕入の中枢としての役割を果たすとともに、昭和初期には松坂屋コレクションの収集活動も担当しました。 京都仕入店は明治時代以降、呉服の意匠の開発とデザイナーの育成に努めており、松坂屋のオリジナル高級呉服の制作拠点でもあったため、デザイナーたちが松坂屋コレクションを参考にして制作した衣裳図案などの作品の数々を残しました。本企画展では、京都仕入店閉鎖時に収蔵庫に保存していた貴重な衣裳図案、雛形軸、裂見本、帯見本などを展示紹介いたします。花の四季菊舟(今尾作)波間の花舟(小倉作)昭和9年 春昭和9年 秋冬 布地(縮緬生地)を友禅染や刺繍などで実際の仕上がり通りに制作した小袖の雛形(デザイン見本)です。また、それらを掛軸の形にしたものは「図案雛形」といいました。(松坂屋では約150本の「図案雛形」を保管しています。)【染雛形】【衣裳図案】きょうだな 松坂屋では、大正14(1925)年から毎年、各店の意匠研究委員で構成する流行研究会を京都仕入店で開催し、その年の流行色、模様を決定していました。そして、春と秋冬の年2回、提案、発表する催事として「流行会」を開催しました。【雛形見本裂】 綸子地、縮緬地に、友禅染、金糸刺繍、金摺箔、鹿子絞など様々な技法で暖簾仕立てに制作し、実際の出来栄えとお顔映りの確認に用いました。
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