Vol.39 小袖の模様─名所風景|松坂屋史料室
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松坂屋 史料室 企画展 Vol.39江戸中期以降、出版技術の発達にともない地誌や一種の旅行案内本の刊行により、町方ではお伊勢詣りや富士講に代表されるように観光ブームがおこりました。さらに友禅染の技法の完成により、糸目糊・色挿しを駆使して、これらの出版物を参考に、現在の着物の原型といわれる小袖に、多彩な名所風景模様が描かれました。洛南の宇治の景、三河国の八橋の景、琵琶湖周辺の景色から選ばれた近江八景等が、刺繍や白上げ、友禅染などにより表現豊かに表されています。本企画展では、松坂屋コレクションの中から、こうした名所風景模様の小袖、裂をご紹介いたします。併せて、その模様や技法、配色などを記した江戸時代のいわゆる「小袖の見本帳」である雛形本も展観いたします。会期 : 令和元年8月30日(金)→11月25日(月) 休館日 : 10月17日(木)会場 : 松坂屋名古屋店 南館7階・松坂屋史料室小袖の模様─名所風景8月30日(金)→10月16日(水)/     10月18日(金)→11月25日(月)松坂屋コレクション衣 裳前期展示前期展示後期展示おう み はっけい も よう かたびら白色の麻地に、藍染めを主体に色挿しと刺繍により琵琶湖周辺の景色から選ばれた近江八景が描かれた小袖。左肩から背にかけては「比良の暮雪」(比良山)、その下に「唐崎の夜雨」(唐崎神社・雨・松)、「矢橋の帰帆」(帆掛け舟)、右肩から背にかけて「石山の秋月」(石山寺)、右腰に膳所城の「粟津の晴嵐」、裾の唐橋は「瀬田の夕照」、上前には「堅田の落雁」(浮御堂)、「三井の晩鐘」(三井寺園城寺)が表されています。(名所風景模様=近江八景)近江八景模様帷子(江戸中期~後期)う じ ふう けい も よう ひと え浅葱色の絽地に、白上げと刺繍により宇治の風景が描かれた小袖。浅葱の地色を宇治川に見立て、右袖には鳳凰堂、腰下には宇治の柴舟、橋の中央部の張り出しを特徴とする宇治橋など名所が表されています。(名所風景模様=宇治の景)宇治風景模様単衣 (江戸後期)ふし み いな り も じ も よう こ そでちり めん じ白色の縮緬地に、刺繍、絞り染、友禅染により伏見稲荷周辺の風景が描かれた小袖。「稲なり山」「たかせ」などの文字から京都の伏見稲荷を示し、裾には伏見街道沿いに並ぶ茶店や、行き交う人々の姿が細やかに表されています。(名所風景模様=伏見稲荷)※絞り染とは、生地の一部を糸で括って防染し、染料に生地を浸けて染めることで、意図する部分を染め残す、染めの技法。伏見稲荷文字模様小袖(江戸中期)やつ はし かきつばた も よう こ そで白色の綸子地に、刺繍、墨絵、型鹿子により橋に杜若が描かれた小袖。橋に杜若が描かれていることから、この景は、『伊勢物語』第九段で、在原業平が訪れた杜若の名所、三河国の八橋を表していると考えることができます。(名所風景模様=三河国八橋[知立])りんずじあり わらのなり ひらやつはしかたかの こ八橋杜若模様小袖(江戸中期~後期)入場無料※型鹿子とは、型紙を置き、刷毛で染液を摺ることによって、鹿子絞りのような模様を付ける技法。※絽地とは、透目(すき間)を生じさせた盛夏向きの織物。※白上げとは糊防染や絞りなどで、模様を白く表す技法。ひ らぼ せつからさき   や うや ばせ   き はんいしやま しゅう げつぜ ぜ じょうあわ づせい らんせた  せきしょうかたた  らくがんみ い   ばん しょう宇治風景模様小袖の名所風景(後期展示)伏見稲荷文字模様小袖の名所風景(前期展示) あさ ぎ ろ じすき めほう おうどうしば ぶね

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