Vol.33 松坂屋の華たち|松坂屋史料室
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「『昇降機ガール』が日本にもできた。上野松坂屋の新館で初試み」このような記事が新聞を賑わせたのは昭和4年(1929)のことです。松坂屋上野店はこの年、関東大震災による焼失から再建し、最新設備の本館が落成しました。その開店と同時にエレベーターガールと案内係が登場したのです。大正時代から昭和初期にかけての都市化の進展と社会の大衆化は、女性の社会進出を促しました。「職業婦人」と呼ばれた女性の活用に最も熱心だったのが松坂屋。エレベーターガールや案内係は、おしゃれな制服を着た華やかな職業というイメージで、当時の女性たちの憧れでした。そして、彼女たちは次第に百貨店の「おもてなし」文化を象徴する存在になっていきました。百貨店の華として、笑顔を絶やさない彼女たちの存在は、いつの時代も松坂屋を彩ってきました。松坂屋には、平成に入ってから今日に至るまでの顧客案内係の制服が残されています。バブルの時代の鮮やかな色あいや、シンプル、フェミニン、トラッドなど、その年代を反映したデザインからは、時代の移り変わりを感じることができます。そして華やかでありながら、お客さまのご要望に機敏にお応えする動きを考慮した機能的なデザインも特徴です。今回の企画展では、平成時代の制服の中から季節に合わせ、夏の制服をご紹介いたします。その時代の流行や雰囲気を映し出した華やかで爽やかな装いから、顧客案内係の素敵な笑顔を思い浮かべていただけましたら幸いです。平成30年6月2日(土)→8月28日(火)松坂屋の華たち─顧客案内係 夏の装い─しょうこうき松坂屋 史料室 企画展 Vol.33
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