vol.26 文学の中の松坂屋|松坂屋史料室
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文化15年(1818)作品。幕臣でありながら、江戸中後期を代表する歌人として名高い蜀山人こと大田南畝は、伊藤家12代当主『新百家説林 蜀山人全集』蜀山人/著、吉川弘文館(1907)詩歌小説随筆なんぽ『漱石・子規往復書簡集』和田茂樹/編、岩波書店(2002)『萩原朔太郎詩集』那珂太郎/編、旺文社文庫(1970)すけみ『女生徒』太宰治/著、角川文庫(1954)『東京の人』川端康成/著、新潮社(1955)『許されざる者』辻原登/著、毎日新聞社(2009)『幕末維新懐古談』高村光雲/著、岩波文庫(1995)『小石川の家』青木玉/著、講談社文庫(1998)『名古屋城山にて』林董一/著、風媒社(2016)祐躬と親交がありました。江戸の根岸にあった伊藤家の別荘を訪れたときに詠んだとされる和歌が「万紫千紅」の章に掲載されています。冒頭から末尾まで、少女の内面の告白という独特の表現が用いられた作品です。物語は、昭和初期、少女のある一日、朝の目覚めから就寝までを切り取ったものとなっています。その日、少女の家に届いた郵便物の中に、松坂屋からの夏物売出しの案内がありました。江戸時代末期に、江戸下谷に生まれた彫刻家、高村光雲の回想録です。激動の幕末維新期をはさんで、江戸から東京へと変貌を遂げるまちの様子などが語られています。松坂屋上野店が登場する上野戦争の場面では、経験した者でないと語れない緊迫感が感じられます。祖父が幸田露伴、母が幸田文である青木玉が、露伴と暮らした日々を回想しています。昭和初期のささやかな日常が、独自の美しく柔らかい日本語で綴られています。女学校一年生の時、母へのプレゼントをもとめ、松坂屋上野店へ一人で出かけた大冒険のエピソードが印象的です。名古屋商人史、尾張藩法研究の第一人者、林董一が、歴史、慣らわし、日常風景などを綴った随筆です。清須越からの土着派の豪商であり、財閥となった伊藤家やその歴代当主、また松坂屋について語られています。昭和29年から30年にかけて地方有力新聞三紙に連載され、後に映画化もされた作品。戦争未亡人の美しい主人公のお気に入りが松坂屋銀座店。戦後、日々華やかに変貌していく銀座の街並とともに、彼女が松坂屋に通う場面が度々描かれています。明治末期の和歌山県を舞台に、大逆事件に連座し犠牲となった大石誠之助をモデルにした主人公を取り巻く、多彩な群像を描いた長編小説です。かつて、名古屋のいとう呉服店に勤めていたという背景を持つ、女性新聞記者が登場します。作家・夏目漱石の文学活動のスタートは漢詩であり俳句でした。漱石は、正岡子規と深い親交を結び、多くの俳句を残しています。明治29年(1896)には、29歳の漱石が江戸時代の面影を残す上野店を詠み、子規に送っています。末尾に「銀座松坂屋の屋上にて」と記され、昭和初期、銀座店の屋上で飼われていた虎が題材とされた詩「虎」が掲載されています。檻に閉じ込められた虎の悲哀とともに、近代化していく東京の寂寥感が詠われています。

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