絵は、まず感動があり、そこから描きはじめますが、その感動の理由はいつも朧げではっきりしません。なぜかわからないけれど心が惹かれる時に、それが何なのか知りたい、そういう思いでいつも筆をとっています。描くことで、美しいと感じたものが色と形となって現れてくれた時、この上ない喜びを感じます。
若い頃、自分が絵を描く理由は、絶望感に苛まれた時の助けであり、無意識にただひたすらに描いていました。そうやって、絵には人を救う力があることを知り、時間がたつにつれ、これを生涯の仕事としたいと思うようになりました。
私は、誰かのためにではなく自分のために描いています。それは、作家自身が自問自答を繰り返し、苦悩を乗り越えて描いた絵こそが、みてくれる人の心に響くのだと思うからです。目指すところには未だ到達できませんが、これからも精一杯取り組んでまいります。

小川 満章